浮気をした夫と離婚したいです。でも離婚後のお金のことが心配です。お金の心配なしにうまく離婚することはできますか?
配偶者が浮気をしていて、裏切られたことが許せずに家出。
そのまま離婚したものの、たいしたお金ももらえず生活が困窮している……こうした話は、離婚ではよく聞く話でしょう。
配偶者の浮気が発覚した場合、許せないという人は少なくありません。
夫婦関係を修復できなかった場合には、離婚という結論を選ぶことになるでしょう。
ですが、ただ勢いだけで離婚を押し進めると、まさに冒頭の「生活に困窮」といった状態に陥ることが多々あります。
そうならずに離婚するためには、どうすればいいのでしょうか?
ここでは、
- 相手が原因で離婚する場合にもらえるお金の種類は?
- 慰謝料や養育費を多く取るには?
- すぐに離婚しない方がいいケースとは?
etc...
について、わかりやすく解説していきます!
相手が原因で離婚!もらえるお金の種類は?
離婚で支払われるお金の種類
離婚を押し進める上で決して避けて通れないのが「お金」の問題です。
離婚の際、支払いについて話し合われるお金の種類には、大きく3つあります。
財産分与 | 夫婦が婚姻中に築き上げた共有財産を清算する |
養育費 | 子どもの監護や教育のために必要なお金。父母両方の分担義務がある |
慰謝料 | 一方の行いが離婚原因になったとき、それに対する精神的苦痛の賠償として請求できる |
注意! 相手に非があっても財産を全部取ることはできない
「相手の浮気が原因で離婚するんだから、財産全部取れるんじゃないの?」
そう考える方がいますが、それは基本的にできません。
民法768条「財産分与請求権」では、夫婦は等しく共有財産を請求する権利があり、たとえ一方に離婚原因があったとしても、それは財産分与に影響されないと定められているのです。
相手が財産分与を放棄すればすべての財産を受け取ることができますが、放棄を強制することはできません。
なので、相手の浮気が離婚の理由であっても、財産分与自体は当てにならないと考えましょう。
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離婚後の保障として「扶養的財産分与」が認められることもある!
離婚をするにあたって不安が残るのは、やはり離婚後の生活でしょう。
専業主婦であったり、子どもが小さかったりすると、経済的に困窮する可能性は高くなります。
そんなときに、離婚後の保障として「扶養的財産分与」が認められることがあります。
「扶養的財産分与」とは、財産分与の1つで、離婚後の生活にかかる費用を元配偶者が一時的にサポートするものです。
期間は大体2〜3年程度です。
ただし、扶養的財産分与が認められるためにはいくつか条件があります。
離婚に至る経緯について元夫に有責性がある | 相手の浮気やDVなどが原因で離婚した場合 |
年齢や健康状態、資産などの見通しが悪い | 元妻が継続的に治療を受けているなど |
再就職の可能性が低い | 高齢である場合再就職が難しいなど |
再婚の可能性が低い | 高齢である場合再婚が難しいなど |
分与する側に経済的余裕がある | 年収が分与する側に比べて大幅に差があるなど |
浮気が原因で離婚する場合には、この「扶養的財産分与」が認められることがあります。
ただし、妻の方に相当の収入がある場合には認められないこともあるので、専門家に確認しましょう。
離婚でより多くのお金を得るためには「養育費」「慰謝料」の増額を目指す!
離婚で受け取ることのできるお金3種類のうち、財産分与で金額を上乗せすることは、「扶養的財産分与」が認められない限り難しいことは前述通りです。
なので、より多くのお金を受け取るためには、「養育費」「慰謝料」の増額を目指すことが大切です。
その方法を次項で詳しく見ていきましょう。
養育費や慰謝料を相場より多く取るには?
養育費を多く取る!
養育費を相場より多く取るために必要なことは、次の通りです。
協議離婚で話し合うこと
養育費は裁判や調停の場では、算定方法と相場がある程度決まっています。
なので、増額を目指したい場合は、自由に金額を決めることのできる「協議離婚」で話し合う必要があります。
なぜその額が必要なのか根拠を示すこと
相場以上の養育費を請求する場合には、それだけの費用が必要であるという「根拠」を示すことが大切です。
たとえば、国が公表している「子供の学習費調査」や「子育て費用に関する調査」など、公的統計を参考に実際に必要な額を算出する、今後の教育プランを作成するなど、「具体的な数値」として提出すると、説得しやすくなります。
定期的に子どもと元夫を会えるようにする
離婚後、まったく会うことのない子どもに養育費だけを払い続けるというのは、相手にとっても苦痛になります。
定期的に子どもと面会できるようにしておけば、自分も子育ての一端を担っていることを自覚し、快くお金を出してくれる可能性が高くなります。
慰謝料を多く取る!
慰謝料とは、精神的苦痛に対する損害賠償です。
なので、裁判官や調停委員など第三者に「精神的苦痛が大きい」と認められるほど、金額は高くなります。そのために必要なことは、次の通りです。
証拠をそろえる
調停や裁判では証拠が物をいいます。浮気の証拠として採用されるものは、次の通りです。
- 夫と浮気相手がホテルや相手の自宅へ入っていく写真、動画
- 肉体関係があることを彷彿とさせるLINEやメール
- 夫が浮気をしたことを認める音声記録
など。
浮気と認められるには、「肉体関係を持っている」ことの証明が必要となります。
精神的苦痛の大きさは「期間」「回数」が左右する
浮気による慰謝料は、「浮気の期間がどれだけ長いか」「どれだけ頻繁に浮気相手と会っていたか」で大きく変わります。
なので、証拠を取る際には、1回だけではなく、相応の期間と回数があることを証明できるようにしておくといいでしょう。
相手の浮気による離婚を切り出す前には、「証拠集め」が必須!
夫の浮気による離婚の場合、もっとも金額として期待できるのは「慰謝料」です。
その慰謝料をいかに賢く取ることができるかが、離婚後の生活を左右するといっても過言ではありません。
浮気に気づき、離婚を考えた場合は、まず浮気の証拠をきちんと押さえることから始めましょう。
そのためには、探偵や興信所などの専門家に頼むのもひとつの手です。
裁判で実際に有効である証拠の集め方を熟知しているので、相談してみてください。
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すぐに離婚しない方がいいケースとは?
経済・金銭面に不安がある場合、すぐに離婚を決めると後々苦労する場合もあります。
浮気の証拠を掴めていない | 満足な慰謝料が取れない |
結婚して3年が経っていない | 婚姻期間が短いと慰謝料減額の対象になる。子どもがいるとその限りではない |
今後の就業の見通しが立っていない | 支払われるお金を当てにしすぎず自立の準備は必要 |
相手に満足な資産や収入がない | 支払いが滞ったり支払われなかったりする場合がある |
浮気をされ、すぐにでも離婚したい! という気持ちはお察しします。
しかし、離婚を急いだために取ることができたはずのお金を取れず、結果的に生活に困窮するようなことはあってはなりません。
今自分が置かれている状況を今一度冷静に見直し、離婚を切り出す機会として最善なのかどうかを判断してもらえればと思います。