一人暮らしで音沙汰のない娘の素行調査
依頼者の娘が「ひとり暮らしをしたい」と言い出したのは、大学2回生になった夏休みだった。自宅から大学は電車で2時間ちょっとで、通学できない距離でもなかったが、少し過保護に育ってきた娘が自立するには好機だと両親も考え、思い切って下宿させてみることにした。
下宿当初は、実家の両親に何度も連絡してきていたものの、半年と経たないうちにほとんど連絡がなくなった。3回生になっても状況は変わらず、むしろ仕送り金額を増やして欲しいと頼まれる始末。さらに、所属するゼミの教授からも「ゼミに顔を出さなくなりましたが大丈夫ですか?」と実家へ電話がくるに至り、さすがに両親も本気で行動を起こした。
さて、実際に行動調査を開始したものの、なかなか対象者は下宿から出てこない。その代わり、若い男が何度も対象者の部屋に出入りするのを確認した。行動調査によって、この男性の氏名や住所も判明。平日の昼間から対象者の部屋に入り浸るところを見ると、あまり勤め人とも思えなかった。
ここで依頼者の希望により、素行調査の対象を、娘から男性にチェンジ。この男性が、雀荘やパチンコ店へ頻繁に出入りするのを撮影した。少なくとも調査期間中には、まったく労働していた形跡が見当たらなかった。さらに近所の人への聞き込みで、借金取りの催促が頻繁にある情報を掴んだ。
依頼者に対象者(娘)と男性の調査報告書を手渡すと、すぐに下宿を引き払わせ、ほどなく娘は実家へ戻ることになった。学費も家賃もすべて両親持ちだったので、これは仕方ないことかもしれない。この男性とは縁を切り、大学に戻ったという報せを受けて安心はしたものの、まだ本当の解決は先かもしれない、という印象を持った。
このケースのポイント
意外に思われるかもしれませんが、家族からの素行調査依頼は少なくありません。本文のように、離れて暮らす子供の心配をするケースから、「夫が本当はリストラされて、違う職場に行っているのでは?」という切実なケースまで、その依頼目的は多種多様です。どんな依頼目的にしても、探偵は「事実を報告する」のが仕事ですから、時には依頼者すら予想していなかった悪い事実が出てくることもあります。逆に、実際は心配するほどのことじゃなかった、という調査結果も多く、このあたりは調査してみなければ分からないところです。なお、家族以外からの依頼としては、社員や店員が不正行為を行っている可能性があるので素行調査をしてほしいという、法人企業からの調査依頼も目立っています。